ジャン・プルーヴェ展

ジャン・プルーヴェ展

ジャン・プルーヴェといえばおしゃれなミッドセンチュリー家具を思い浮かべる学生さんが多いのではないでしょうか。そのプルーヴェの椅子と建築に着目した展覧会が東京都現代美術館で開催されています。プルーヴェだけでまとまって家具、特に建築を観られる機会は少ないと思います。2022年10月16日までの期間なので夏休み期間中に是非観に行ってみましょう。

ジャン・プルーヴェ展 | 展覧会 | 東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO (mot-art-museum.jp)

ジャン・プルーヴェ展 東京都現代美術館 Youtube

プルーヴェの椅子については、おしゃれな形と色使いが特徴的で学生にもファンがいると思います。今回の展覧会のポスターにもなっている、曲線が優雅で軽やかな印象のアントニーチェアから、今でも色あせない端正な造形のスタンダードチェアまで様々な椅子をまとまって観られます。

カフェテリアチェア、スタンダードチェアについては、初期のモデルから後年のモデルまで段階を追って変遷をたどることができますし、各パーツ毎にバラしてある展示もあります。以下にプルーヴェが構造をきちんと考え、製造方法を考慮し、何度もモデルチェンジを繰り返してより良い製品づくりを行っていたか良く分かります。勘違いしている学生さんが時々いますが、「コレかっこいいでしょ」とスケッチ描いて後は職人さんが作ってくれました、では良いものはできないのです。コツコツと少しずつ改良を積み重ねることもデザインにおける大切な要素なのです。

ウッドチェアの分解展示
モデルチェンジ毎に少しずつ改良する。

構造や製法をきちんと考えていて、それを考えないのはデザイナーではないと考えていたとも思われるプルーヴェだけれど、それでも今でも彼の家具などが愛されているのはその美しさがあってこそ。現物を間近で見ながらたっぷり楽しめます。

美しい椅子ばかり
この座面背もたれの複合板と背面の構造体の隙間がポイント。座ったときの柔らかさと見た目の軽やかさを実現している(でも座れませんでした。残念)。
今でも色あせない美しさ(写真としては壁の赤茶色が効いている)

ミッドセンチュリーの家具デザイナーとしてのプルーヴェが有名ですが、建築にも相当力を入れていました(建築界隈では知られています)。ここでも構造や施工性を重視しており、工場で予め部材を作っておいて現地で組み立てるいわゆるプレハブ工法に熱心に取り組んでいました。今回は1棟まるまる再現されています。ディテールまで見ていくと時間があっと今に過ぎていきますよ。

特徴的な丸窓のあるアルミ製扉

家具以上に建築では構造や素材に力を入れていることが分かる文章も書かれていますね。
「建設は(・・・)、素材の原理によるものだ。だから正確に図面を引き、
 材料の物理的な性質を知らなければならない。
 私は自分でつくった部材で建てると決めた。
 主に鋼鉄、木材とアルミニウムを組み合わせた軽量な部材で。」

1棟まるまる再現されています
シンプルながら考えられた構成とディテールの入り口

アフリカ向けに素材を調整した家具と日除けの組み立て壁
この日除け壁が今回の展示で一番のお気に入り。柔らかいフォルム、日除けとしての機能、丸い穴から床に落ちる光。地域に合わせながらプルーヴェらしさ満点の造形。

夏休みに東京の学生さんはもちろん、地方からも東京に行く機会があれば是非観覧をオススメします。1点注意があるとすると、東京都現代美術館は地下鉄の駅から10分以上あるきますので、夏休みの炎天下では熱中症に注意が必要ですよ。

取材協力:株式会社コムデザイン
https://com-design.co.jp

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