名古屋市工業研究所の「なごや むすぶ Tech Lab」と日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)中部ブロック主催で開催されたセミナーに参加しました。その時の簡易的な内容報告です。
最近はオンラインの開催が多く、地理的に離れていても気軽に参加できるようになりました。今回のセミナーもオンラインで参加費も無料でした。名古屋市工業研究所だけでなく、公共的な施設が開催する勉強会やセミナーは無料か安価なので、今後もいろいろ参加してみようと思います。
講師:CRP研究会代表 谷川憲司氏(静岡文化芸術大学デザイン学部元教授:2020年3月退職)
日時:2021年1月22日(金) 13:30~
タイトル:「浜松の中小企業が持続可能なモノづくりを探求するCRP研究会」
地域の中小製造業・デザイナーの勉強会等の取り組みを紹介
JIDAデザインセミナー「浜松の中小企業とモノづくりを探求するCRP研究会」開催のご案内|JIDA中部ブロック公式サイト
セイコーでデザイナーとして働く
パリにいたときには日本では考えられないような製品デザインを生み出せと言われていた。当時の針を触って時間が分かる腕時計は今での販売しているロングセラーとなった。
当時の中村恒也社長の言葉がずっと心に残っている。「答えはエンドユーザーにある。」「製造業は3つのことで貢献できる。1. 優れた製品の提供 2. 利潤を社会に還元 3. 雇用を生み出す」これらの言葉が今になってますます分かるようになってきた。
静岡文化芸術大学の教員となる
ユニバーサルデザインのピークは2000年ごろであった。その後盛り上がらなくなってしまったので、あたらにユニバーサルデザインプラスという言葉でポジティブを用いてプラスのファクターの発見・魅力付けを目指した。
あるとき大学の理事から、教員は日本や世界の学会ばかりに目が行っており地元を見ていない。この大学は浜松という土地にあり、地元の産業を活性化させることが大きな目的の一つだと言われた。これがCRP研究会を立ち上げるきっかけとなった。
CRP研究会の活動
浜松の中小企業は大手の下請けが多く、注文書に基づいて製品を作っているが、これからはお客様に向けて作る必要がある。売って終わりではなく、細やかにお客様とつながる必要がある。これがCustomer Relationship Production (CRP)である。
隔月ぐらいのペースで勉強会を行っている。勉強会で知り合った数社が意気投合して製品づくりなどに発展していることがある。
事例紹介
- 浜松リハビリテーションセンター 嚥下リハビリ用チェア
- ハマニ化成 スマートキーカバー
- ルカミィ 透明マスク
- ナイトー工業 ロケットストーブ
地域に根ざした大学の教員は地元企業がら相談されやすい立場である。教員だった頃は利益を考えずに各社の相談にのったり卒業生のデザイナーを紹介したりできた。CRP研究会立ち上げ時にいろいろできたのは教員だったからである。
モノづくりの企業は、技術はあるので物は作れる。しかし売る場所や仕組みがない。これらに関してもCRP研究会として展示するスペースを作ったりしたいと考えている。現在は浜松にあるコワーキングスペースのFUSEのアドバイザーをしており、そこでも展示スペースなどを機能させたいと考えている。