制作に使うPCはどうする?そもそも編

制作に使うPCはどうする?そもそも編

デザインを行う上でパソコンを使うことが随分と増えました。むしろパソコンなしでは成り立たない状況です。そこで高校生でもすでに制作を始めている人、大学に入ったけれどパソコンをどうしようか悩んでいる人向けに何度かに分けて書いていく予定です。全てのケースを網羅することはできませんので、代表的な事例を想定しますが、少しでも購入の助けにしてみてください。

これからデザインをしてみたいという人向けとしていますので、内容はパソコン初心者、初めて購入する人が対象です。「俺は制作だけでなくゲームもやりたいから、WindowsのデスクトップでCPUは○○○、グラボは□□□じゃなきゃ」という人は、ここに書かれているようなパソコンの案内は不要でしょう。

スマホ、タブレット、パソコン

皆さんはスマホを持っているでしょうから、これから購入するとなるとタブレットかパソコンかと悩むかもしれません。目的がデザイン制作として考えた場合には、パソコンがおすすめです。

スマホやタブレットは自家用車、パソコンはトラックや作業車だと思ってください。普段の生活では、自家用車で買い物に連れて行ってもらうでしょう。あなたはお店で買ったり食べたりして消費する立場です。しかし、制作を始めるこれからのあなたは「お店を作り運営する側」になるのです。お店で販売する商品を持ち込むのに、荷物が少ししか積めない自家用車ではなく、大きな荷台のあるトラックを使います。お店やその駐車場を作るためには、工事用のミキサー車やローラー車を使います。これらの作業を自家用車でもできなくはありませんが、作るためには適した車を使う方法が良いことが分かるでしょう。

現実的にはスマホもタブレットも制作の道具としても使います。スマホのカメラは大変優秀ですし、タブレットは手描きのスケッチや、調査・情報収集で良く使います。そしてこれらの進歩はめざましいので、これから制作においてさらに使えるようになるでしょう。でも2019年時点で制作のためにはパソコンが最も適しています。ただし、手描きのイラストはタブレットの方が優れています。手描きスケッチの比重がとても高い人はタブレットから購入しても良いと思います。

パソコンに求められるもの

まず、2019年時点のデザイン制作で使うパソコンは、CPUが速ければ速いほど良く、画面も大きければ大きいだけ(こちらは限度がありますが)良いということがあります。将来的には技術が十分に進化して、「どれを買っても一緒、要は使う人次第だよね」となると思いますが、現時点では高性能なパソコンほど良いでしょう。

モノのデザインをする場合には3D CADやCGソフトを使いますが、これは膨大な量の情報を扱うため、CPUやグラフィックの速度が求められます。特に部品の数が多くなったり複雑な形状になると、画面に表示されるまでに時間がかかるようになって作業効率が大きく落ちます。三次元の情報を操作するために表示する情報も多く、ボタンなどの数も多くなるので広い画面が必要になます。

もう一つ速さと広さが求められる代表的なものにビデオ制作があります。1秒間に30枚または60枚の写真やイラストを素早く表示することで動画になっているので、膨大な量の写真を決められた時間内で処理するだけの速さが必要になります。写真やイラストのように平面的な編集に加えて、時間ごとの編集もありますので、操作しなければならない内容が多く、そのためのボタンや調整スライダーなどが多く必要となり、広い画面であれば操作性が良くなります。

主に写真やイラストを制作している人は速いパソコンや大きな画面は必要ないでしょうか? 確かに3D CADやビデオに比べたら条件は緩くなります。しかし、近年のグラフィックソフトは、描き手が操作することを細かく忠実に再現したり、AIの技術を取り入れて複雑な操作を自動化するなど、CPUの性能を使った機能が増えてきていますので、やはりCPUが速いと作業効率が良くなります。広い画面は言うまでもないですね。広ければそれだけ全体と細部の両方を一度に見ることができ、いちいち拡大縮小を繰り返す必要がありません。

そして、少し難しいのですが、メモリ容量というものもあります。これも大きければ大きいほど良くなります。メモリとは情報を記録しておくところですが、パソコンには実際に作業するための机やキャンバスに相当するメモリと、制作したものを整理して保存しておくための引き出しや棚に相当する、記録メモリとしてのハードディスクやSSDがあります。どちらも3D CADやビデオでは特に多く必要となります。

結局、どうするの?

このようなパソコンに求められる性能を書いてきましたが、さてこの条件を満たすパソコンはどんなものでしょうか。そうです。最新機種で、大変高価で、大きく、重いものになります。なので、結局はそれらのバランスをみながら、どこかを妥協しながら、自分にあったパソコンを選ぶことになります。

でも、これからデザインを始めようというのに、まだパソコンで何ができるのかできないのかも分からないのに、そんような判断は難しいですよね。

そこで私のおすすめは、家族のお古を譲ってもらうことです。お父さんやお母さんのパソコンを新しいものに買い換えてもらったり、お兄さんお姉さんが大学生なら、入学時に購入したパソコンに不満が出てきている頃かもしれませんし、社会人になるタイミングでしたら、それこそ買い換えても良いタイミングでしょう。

確かに中古では上記で書いたような性能がないので、動きが遅かったり、画面が狭かったりして効率は悪くやりにくいでしょうが、できない訳ではありません。それよりも自分の制作のためのパソコンがあることが大事です。この0と1の差は大変大きいものです。(制作をするようになると分かってきますが、100点満点として、この0から1にすることと、90から100にすることが特に大変であり、価値があります。)

一度自分のパソコンを持って制作してみると、自分のやりたいことなどがより明確になり、絶対に必要な性能や妥協できるところなどが分かるようになります。それらが明確になってから購入しても良いと思います。

2台目でしたらアドバイスは不要かもしれませんが、今後は具体的な購入おすすめのパソコンを書いていきます。今回はここまで。

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