高校デザイン専攻科という選択肢

高校デザイン専攻科という選択肢

高校専攻科ってなに?

高校の専攻科をご存じでしょうか。看護科や情報科、機械科等という3年間学ぶ高校において内容を表す○○科とは違って、高校を卒業した人がさらに専門的に深く学ぶための学校です。高校に併設されていることが多いのですが、その高校の卒業生だけでなく、他の高校を卒業した人や一度働いてから改めて学び直すために通う人もいます。学校教育法としては1年間以上の履修期間と決められていますが、実際には2年間のことが多いようです。

高校の専攻科というと看護や水産が多いのですが、デザインの専攻科もあります。埼玉県立新座総合技術高校が全国に1校のみありましたが、来年度(2020年4月)から愛知県立瀬戸窯業高校にデザイン専攻科ができます(もともと窯業の専攻科がありましたが、改編して工芸デザイン科になります)。

新座総合技術高校専攻科にはビジュアルデザイン、プロダクトデザイン、ファッションデザインの3コースがあります。定員は1学年15名です。瀬戸窯業高校ではセラミック陶芸とデザインの2コースになります。定員は1学年20人です。どちらの高校も大学に比べて定員が少なく、情報も多くないでしょうから、入学希望の人は早めの情報収集を心がけましょう。

愛知県立瀬戸窯業高等学校 工芸デザイン専攻科 https://setoyogyo-h.aichi-c.ed.jp/data/senkouka/index.html

埼玉県立新座総合技術高等学校 デザイン専攻科 https://senkouka.wixsite.com/designsquare

WokandapixによるPixabayからの画像

高校デザイン専攻科のメリット

高校よりも専門的に学べる

デザイン科のある高校もありますが、その時以上に専門的でより深く学ぶことができます。内容的には座学も実技もあり、いわゆるデザイン系の学校で行われる学習内容は網羅されています。2校とも3年制の高校にもデザイン科がありますので施設等も揃っていて、それらをより高度に使いこなしていくことになります。

学費が抑えられる

デザインに関する高校の専攻科は2校とも県立ですので、授業料は高額ではありません。具体的な金額は各学校のホームページやパンフレットを参照していただきたいのですが、私立の学校と比較すると随分と安く抑えられます。2年と期間も短いので、その点でも費用が少なくなります。

4年制大学への編入も可能

2年間で一通りのデザインに関する勉強をしますが、もっと勉強がしたい、より深くデザインを学びたいと思ったら、卒業後に4年制大学に編入することができます。全ての大学に行けるわけではなく、入学試験もありますが、さらに勉強したいと思うぐらいの心意気の人なら十分進学できる可能性があります。

少人数の学生で濃密に

2校とも1学年の定員が少なくなっています。コース単位になると1学年5人から10人です。同じデザインを指向した仲間と教員で濃密に学ぶことができます。

Rudy and Peter SkitteriansによるPixabayからの画像

注意点

授業が短期に集中している

2年間でデザインの専門的なことを学習しようとするので当然なのですが、授業は毎日朝から夕方までしっかりあり、高校生活とあまり変わらないかもしれません。制作課題もあるので「高校卒業後の学校では授業のない日は遊んだり〜、バイトしたり〜」という訳にはいきません。

あくまで個人的意見ですが、学生の時はボンヤリしながら、自分は何者なんだ?、デザインとは何か?、地球や人類に私はどんな貢献ができるのか?など答えがないようなことを堂々巡りになりながら、1日中悩む時間もあっていいように思っています。しかし、その暇がないくらい忙しい学生生活になりそうです。

学校の校舎も高校敷地内にあり、高校校舎の隣で勉強することになりますので、高校生活の延長のように感じるかもしれません。

学校の制度が知られていない

全国で高校の専攻科は130程度あるようなのですが、それぞれ専門で分かれていますし、入学前の情報も多くありません。情報誌や塾、卒業生などからの情報も少ないでしょう。また、高校の専攻科がどのようなところか、一般的な社会人でも知っている人が少ないでしょう。2年で専門的なことを学習しましたと言えば分かってもらえるとは思いますが、「デザイン専門学校卒業です」というより一般の人はイメージしにくいかもしれません。ただし、就職に関しては、卒業生の採用を考えている企業は学習内容を理解しているでしょうから、特段不利なことはないと思います。

入学時の学習進度

3年制の高校にデザイン科がある学校に専攻科が設置されていますので、その高校のデザイン科を卒業してくる人と普通科高校からデザインの専攻科に入学する人では、入学時点でグラフィックアプリケーションの使用経験など技術的な差があります。これは4年制の大学でも一緒で、高校のデザイン科出身の学生さんは最初からイラストレーターを使えたりします。大学でみていると普通科出身の学生さんも2年生になる頃には技術では追いついていますので、総合的にみたら心配ありません。高校専攻科では授業数も多いのでもっと追いつく期間が短いかもしれません。

まとめ

費用や期間の点から大学に行くほどではないけれど、デザインを勉強したいと思っている人にぴったりな制度になっています。技術を短期間で身につけて早く実務に就くことができて、デメリットは殆どないと思います。興味がある人は是非資料請求をしたり、実際に学校を見に行ったりしてみましょう。全国に2校しかなく定員も少ないので、早めの情報収集と行動が大事です。

扉写真:Juraj VargaによるPixabayからの画像

変更:2019.12.17 各高校専攻科へのリンク間違いを修正

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