トヨタ車の色は日本の自然を表す

トヨタ車の色は日本の自然を表す

2019年11月29日(金)から12月1日(日)にかけてアジア色彩学会が名城大学ナゴヤドーム前キャンパスで行われていました。11月30日(土)にはメインイベントともいえる基調講演としてトヨタ自動車カラーマネジメント室主査の金丸克司氏による「Inside the Minds of Automotive Color Designers」がありました。

アジアの学会ということで司会進行から主催者の挨拶まで全て英語で、講演も全て通訳なしの英語のみですので、完全に理解していないところがあるかもしれませんが、トヨタ自動車の色に関する考え方の一端を感じることができました。正直言いますと、色彩学会なのでもっと色の考え方における専門的、具体的な話を聞きたいところもありましたが、トヨタ自動車として公に発表する内容となると、一般的な内容が多くなってしまうのかもしれません。

….. 以下は講演内容の概要です。…..

iQは日本やヨーロッパで多く出ている小型車だが、形も色もテクノロジーとエレクトリックを表現している。

FT-86はスポーツフィーリングと未来感を表現するために黒と赤、グレーを用いている。SFもイメージしている。

カラーマネジメント室には46人いて、テキスタイル、グラフィック、インテリアなどを学んできている人が多い。

カラーマネジメント室 自動車における色(外装と内装)と素材と仕上げを担当している。

車にとって外装色は車の印象を大きく左右するので大変重要。インテリアでは素材感などが重要になり、縫い目などディテールにも気をつかう。高級車のLSでは車では珍しい切子ガラスを採用した。

各車の全ての色は考えがあって決めている。ヤリスは若くて活動的なユーザー、スポーティーなファッションなどからツートンカラーを採用。RAV4は若さと冒険、役立つ道具としてアーバンカーキ(灰色がかった緑)。新しスープラではぞくぞく感や感嘆などをイメージするグレーマットフィニッシュとした。

大きな車には黒などダークな色、小さな車には明るい色が似あう。凹凸の多い立体的な造形の車にはメタリック仕上げとするとハイライトによって形が強調される。

外装色はそれぞれの車のスタイリング、サイズ、個性を重ね合わせて、すべてを満たす色を選定する。

プリウスは初代は当時珍しいハイブリッドカーとしてエコロジーを連想させる色としたが、今は走る楽しさや東京など都会で映える色にしている。同じ車でも時代とともに最適な色は変化する。

塗装の色、素材で機能を持たせることにも挑戦している。熱を反射する塗装とすることで室温を5度下げることを試している。

クラウンアスリートでは日本の感性を重視した特別カラーを準備した。ドイツ車とは違う価値を明確にしたかった。暁の陰(あかつきのかげ)(濃赤)、夜籠の汀(よごもりのみぎわ)(濃青)、はつの香(はつのか)、行き逢いの空(いきあいのそら)についてイメージ写真とともに紹介。

高級車のLS500hではオプションとして構造色(蝶の羽などにみられる、特定の波長を反射する構造をもった多層膜が表面にあることで、着色した色とは違う立体感のある色が見える)を採用した、Color with NO COLORと呼んでいる。

JPNタクシーでは深藍(KOIAI)をメインカラーにしている。伝統的であり、自然でもあり、象徴的な色となっている。フォーマルでもあり、親しみやすさもある。昼はクリーンに見え、夜はフォーマルに感じられる。

質問:どのくらいの期間で検討しているのか? 回答:色の検討はテストなどもあるので16~18か月かけて開発し、製品化までに約2年かかる。なので3~4年先を考えながら検討することになる。

質問:採用はどのようにしているのか?何を重視しているのか? 回答:基礎がとても重要。その上で感性が必要。インターンシップの演習で各参加者を良く観察して力量を見ている。

2019.11.30 ACA Nagoya 金丸克司氏の講演 Inside the Minds of Automotive Color Designers の要約

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