混乱?デザインを学ぶ「名古屋」の大学

混乱?デザインを学ぶ「名古屋」の大学

いずれ整えた形にしたいと思いますが、取り急ぎ簡単にまとめてみます。内容は筆者の周辺で見聞きしたことから書いていますので、正しい情報は各大学のホームページ、パンフレットやオープンキャンパスへの参加で得てください。

そもそもこのホームページを作ったきっかけの一つですが、「名古屋」と名前につくデザイン関係の大学がたくさんあります。さらに「愛知」が名前に付く大学も多くあります。正直、私が名古屋に来たばかりの頃は大変混乱していましたし、今でも間違えそうになります。今回は「名古屋」のデザイン関係の大学を紹介してみます。

地元では大学名を短くした略称で言われることが多く、なおさらどこの大学なのか分からなくなります。略称も追記しました。正式な大学名でも略称でも間違えやすいことは変わりないので、特に文面でなく口伝えで情報を得た時にはすぐにメモをとって、後で調べるときなどに違う大学のホームページを見ていたとならないように注意しましょう。

※ 下記は50音順に並んでいます。

名古屋学芸大学

地元の略称:学芸(がくげい)

2002年に設立された中部では比較的新しい私立大学。名古屋市近郊の日進市にあり、姉妹校の名古屋外語大学と同一敷地となっています。学部として管理栄養学部、ヒューマンケア学部、看護学部もあり、デザイン関係はメディア造形学部となります。学芸という大学名から受ける印象より様々なジャンルの人に出会えそうです。

メディア造形学部という名前からも分かるように、特に写真や映像系に強い印象があります(映像メディア学科)。またファッション造形学科があるのが特徴。4年制大学でファッションを学ぶ大学は多くありません。デザイン学科は商品パッケージなどビジュアルを中心にするコースと、スペースやプロダクトデザインのコース、プロデュースをするコースがあります。各学科内で1年生など最初のうちは共通の授業で、途中から各自の希望や適正からそれぞれのコースに分かれていくとのことです。

名古屋芸術大学

地元の略称:名芸(めいげい)

中部圏では古くからある芸術系の私立大学で、1970年に音楽と美術の2学部で設立。現在は北名古屋市(名古屋市の北隣の市)に2つのキャンパスがあります。デザインに近い内容としては、日本画などの美術領域、デザイン領域、芸術教養領域の3つに大きく分かれます。

美術領域は純粋な美しさを追求するような美術に重きを置いていて、それと対になるように芸術教養領域は広い知見と思考力を備えた総合的な教養を重視しているように見えます(これはあくまで外からみた雰囲気です。ご容赦ください)。

デザインは幅広くコースがあり、自分で興味のあることを深く追求できそうです。中部地域の土地柄から車関係は強そうですが、中部地方で「カーデザイン」としっかり明示したコースがあるのはこの大学のみになります。(※多くの芸術関係の大学には車のデザインに関わった経験のある先生が在籍していますので、他の大学でも学ぶことはできます。)他にもテキスタイルやセラミックと地域産業を意識したコースがあります。

名古屋工業大学

地元の略称:名工大(めいこうだい)

中部地方の工業系の老舗国公立大学です。卒業生が中部地方を中心に活躍しており、産学連携にも大変積極的で、そのための専用の部屋などもあり、大学教授が執り行う官庁や企業が参加する勉強会も行われています。

社会工学科の建築・デザイン分野にプロダクトデザインのコースがありましたが、2021年現在新入生を受け入れていません。

大学の新しい取り組みとして創造工学教育過程が新設されました。このコースは専門性をみがく従来の学科や専攻に加えて、もっと広く工学のセンスと総合力を学ぶことを目指しています。原則6年制で卒業時は大学院博士前期課程修了になります。材料・エネルギーコースと情報・社会コールの2つのコースがありますが、希望すれば名古屋工業大学の全ての学部の授業を受けることができるようです。オープンキャンパス時に先生にお聞きしたところ、工学全般の知識や経験を積みながら起業したい、新しい製品やサービスを開発したいなど、意欲的な学生が多いとのことでした。近年プログラミングや新しい技術を基盤としたデザインも増えてきており、それらを目指す人にはこのコースも面白いと思います。

名古屋市立大学

地元の略称:名市大(めいしだい)、学部の略称:芸工(げいこう)

名古屋市立大学は医学部、薬学部が有名ですが、芸術工学部もあります。名古屋市立大学は名古屋市内にキャンパスが点在しており、芸術工学部はナゴヤドームの南側0.5kmの場所に独立して敷地があります。近い地下鉄の駅がなく市内なのにちょっと行きにくい場所になります。

情報環境デザイン学科、産業イノベーションデザイン学科、建築都市デザイン学科の3学科があります。建築都市デザインは完全に建築系です。産業イノベーション学科はプロダクトデザインというか「工業」デザインという内容になります。ビジュアル的なことも勉強しますが、かなりしっかりとしたプロトタイプを作ったり、実験や統計分析など勉強し、使い勝手やユーザーが求めていることをきちんと論文にすることが求められます。情報環境デザイン学科はグラフィックにこだわらず、音や映像、環境をプログラミングを通じてデザインすることになります。

芸術だけでなく工学と学部名ついていることを理解していないとミスマッチになります。情報環境デザインはプログラムが書けることが当たり前で、その上で何が作れるかを問われるような課題とのことで、知り合いの学生さんはあまりの授業の早さと高度さにギブアップしそうと言っていました。産業イノベーションでも相当に工学的なアプローチが要求されます。高校時代に数学が得意でなくてもいいけれど、嫌いと思っている人は入学後つらいでしょう。

名古屋造形大学

地元の略称:造形(ぞうけい)、一部で名造(めいぞう)、英語の文字で書く場合:NZU

1967年に短期大学として設置されていて、中部地方でも私立の芸術系大学として長い歴史があります。芸術系だけの単科大学として、小牧市の緑豊かな場所にあります。キャンパスは数年以内に名古屋市の名城公園の東側、地下鉄名城公園駅を含む敷地に移転予定です。

比較的小さな規模の芸術系のみの大学で、健やかなのびのびとした雰囲気が印象的です。以前は染色や陶芸など工芸的な分野で強い印象でしたが、近年は映像やマンガ、アニメーションなど現代的な分野にも力を入れています。さらに2020年4月入学生からは、イラストやマンガ、メディア、プロダクトなど9つに細かく分かれていたコースを5つの領域(専攻の分野)に大きく組織改編されます。入学するときにそれぞれの分野が広くなっているので、入学してから自分の希望や特技に応じてコースを選択し、その専攻分野を深く勉強できます。

コースの考え方を変える組織改編、名古屋市内へのキャンパス移転、それに伴う勉強空間の大変更(全コースが1つの大きな部屋に集まる建築)など、今後の変化が楽しみな大学です。

名古屋近郊のデザインが学べる主な大学

「名古屋」と付かないけれど名古屋近郊でデザインをまなぶ大学としては下記があります。今回は「名古屋」に絞ってみましたが、いずれまとめるようにします。

  • 愛知県立芸術大学
    • 愛知、名古屋だけでなく中部地方における芸術系の大学の代表格。やはり美術、芸術に強く、デザインといってもアート的な面に強みがあります。地元の略称は県芸(けんげい)。
  • 愛知工業大学
    • 情報系のデザイン(PCを使った映像やグラフィックなど)をメインとしています。なぜか愛工大の先生は明るく積極的な人が多い印象です。地元の略称は愛工大(あいこうだい)。愛知工科大学は別の大学です。
  • 愛知産業大学
    • コースはいろいろありますが、こちらも工業系に強いデザインが特徴ではないでしょうか。新しくIoTなども取り込んだスマートデザインの学科があります。地元の略称は愛産大(あいさんだい)。
  • 椙山女学園大学
    • 生活科学部生活環境デザイン学科にアパレルメディア、インテリア・プロダクト、建築・住居の分野があります。幼稚園から大学まである伝統校です。
  • 大同大学
    • 古くから工業系に強い大学。デザイン系は情報学部の中に情報デザイン学科があります。いろいろ積極的に地場産業と連携するなど面白いことをしています。地元の略称は大同(だいどう)。
  • 静岡文化芸術大学
    • 愛知の隣になりますが、浜松にある国立の大学で、規模や内容からデザイン関係の大学として中部でも存在感のある大学。デザイン学部と文化政策学部に2学部で、その2つの学部が互いに良い影響を与え合っている。ものづくりが盛んな浜松にあって地元の企業とのつながりもある。略称は文芸大(ぶんげいだい)。

2021.06.19 名古屋学芸大学ファッション学科の説明修正。名古屋工業大学の説明修正。略称を追記。その他情報の更新。

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